こんにちは。国語担当の廣田です。本日はオノマトペ(擬音語・擬態語)の話です。低学年の授業ではたくさん扱うのに、高学年になるとほとんどテキストの中で触れる機会がありません。あまり入試に出題されないから?以前北嶺中ではよく出題されていたようです。
たとえばH19年(出典は安岡章太郎の『宿題』)。銭湯で出会った江戸っ子の同級生。手拭いをシュッと絞って、桶をぽんと叩いて、パッパと水をかぶるー。粋でいなせな入浴作法というのが実際にあるかどうかはわかりませんが、生徒たちはどのくらい頭の中でイメージできているのかなあと気になっていました。実際に差のつく問題でなくとも、オノマトペの知識が豊富であれば、物語文の世界をイメージしやすいのは確かです。「心情や情景描写を理解する際に役立つのになあ。もっと授業の中で扱いたいなあ。」と残念に思っていました。
こんなことを考えていた折、今年の5月に出版されたのが『言語の本質 ことばはどう生まれ進化したか』です。
オノマトペは身体的な感覚で理解できる言葉。今まであまり重視されていなかったけれど、そこから言語の成り立ちや幼児が言語を習得していく過程がわかるかもしれない、という内容の本です。どちらかといえば一般向けの内容ではなく、難解な章もあります。「ああ、大学で言語学の講義を真面目に聞いておくんだった」と後悔しながら読みましたが、これがけっこう面白い。あっという間にベストセラーになりましたね。しかも小6週テスト(後期2回)でも出題されてびっくりしました。
私が特に目からウロコだったのはオノマトペのアイコン性、音と意味のつながりについて述べた第2章です。「阻害音」は角ばっていて硬い響きの音(p・t・ k・ s ・b ・d・g・h)で、たとえば「ゴトゴト」「ブチブチ」など。一方「共鳴音」は、丸っこい柔らかい響きの音(m・n・y・r・w)で、たとえば「ムニャムニャ」「ユラユラ」など。「かたい」という形容詞も「k・t」という阻害音、「柔らかい」という形容詞も「y・w・r」という共鳴音を含んでいる。だから、日本語を知らない外国の方に「どちらがsoftでどちらが hardか」と聞くと多くの人が正解するそうです。
もしかしたら、今後国語の入試問題で出題が増えるかも、とオノマトペ大好きな私はかすかに期待してしまいます。犬の鳴き声についても書きたかったのですが、それはまた次の機会に。最後まで読んでいだだき、ありがとうございました。
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