【入試問題分析】2024北嶺中学校

2024年度「北嶺中学校」の中学入試問題分析をお伝えします。四谷大塚NETでは,道内主要5中学の入試問題分析をまとめた『中学入試問題分析資料』を毎年発行しています。この記事では,資料集の本文部分を抜粋して掲載しています。

分析資料冊子をご希望の方は
問い合わせフォーム
に「中学入試問題分析資料希望」と明記して,お問合せください。

学校基本情報

hokurei_top北嶺中学校
札幌市清田区新栄448-1
入試日 1月8日
男子校
定員120名
四谷偏差値55
学校HPはこちら

算数

2024年の北嶺算数は大幅に難化しました。大問5題、小問29題と小問数が大幅に増加しています。大問1は例年通りの計算問題4題で、例年通り数字が複雑で高い計算力が求められます。大問2の小問集合ですが、(1)で1ページ分が使われる出題で傾向の変化に驚いた受験生もいたでしょう。(3)場合の数と(4)平面図形が特に得点しにくい問題でした。例年の傾向として、大問2で1~2問は得点しにくい出題がありますので、ここでの失点に神経質になりすぎないように対策を進めましょう。大問3が今年の北嶺算数を象徴する問題です。長文読解+試行錯誤系という受験生泣かせのセットで、(2)以降は非常に苦戦した受験生が多かったはずです。近年の受験算数でよくみられる長文問題ですが、難易度設定が高すぎるようにも感じます。大問4は前半は適正な難易度でしたが後半は作業量と作業スキルを求められる難しい問題。最後の大問5でまた試行錯誤系。大問5の後半は、正解者はほぼいないのではないかという難易度でした。大問1の計算を含め、取るべきところで確実に得点することが合格への必須条件という出題でした。
(算数文責:三上)

国語

大問3題構成(物語文・随筆文・論説文)は例年どおりです。昨年多く出題された「本文中での意味を問う」選択肢は、今年は大問1(3)のみでした。ただしこの分野は毎年出題されますので、引き続き文脈から判断して適切な言葉を入れる練習は必要です。大問2の随筆文は(4)の敬語以外は例年通りの出題でした。大問3の稲垣栄洋『ナマケモノは、なぜなまけるのか』は2024年度の入試問題で出題される可能性ありと話題になっていた本で、比較的古い文章を出す北嶺中では珍しい出典でした。毎年出題される記述は昨年同様5問で、「具体例をカットし抽象化」「余計な修飾表現を入れず、ぎりぎりの指定字数内で収める」という、2020年度から続く北嶺らしい記述です。漢字の問題は頻出のレベルのものが書ければ十分です。また知識分野も「定番」と言える単元はないため、対策に時間をかけるべきではありません。合格のためには記述と選択肢の対策に時間をかけること。そのためにはまず、余計な情報や文体に惑わされることなく、文章構造を見抜く読み方を身につけることです。①論説文は具体例と意見の読み分けをした上で、言い換えと繰り返しの表現をチェックする(記述の材料になりやすい)②物語文・随筆文は時間軸と心情の変化をチェックし、細部よりも全体の流れをつかむ。この2点が大切です。
(国語文責:廣田)

理科

大問4題・小問29題で、例年通り物理・化学・生物・地学の4分野から大問ごとに出題されています。大問1は地学の小問集合。前半の知識問題には戸惑った受験生も多かったかもしれませんが、後半の天体は比較的平易で、確実に得点したい問題といえます。大問2は物理の小問集合。2023年のノーベル物理学賞に関する時事問題や、浮力に関するグラフの作図を含んでいました。大問3は生物から、血液循環についての読解形式の出題。心臓の体積と心拍数から体に運ばれる酸素の体積を求める問題や、つるかめ算を用いる燃焼の問題は、週テスト等で目にすることも多い差のつく典型題です。大問4は化学から、エタノールとガソリンの燃焼に関する問題。時事問題である「バイオエタノール」「カーボンニュートラル」のほか、化学反応の質量比に関する典型的な計算問題も出題されました。細かい知識の問題は散見されますが、全体としては予習シリーズや週テストの学習内容で十分得点可能です。日頃から、一辺倒な解法の暗記に頼らず、本質を理解して学習を進めましょう。
(理科文責:郷)

社会

例年通り、大問4題・小問49題、地理と歴史が中心の出題で、試験時間に対してのリード文や設問文の長さや設問の多さも健在。各大問ごとにある1500字程度のリード文を含め、速く正確に題意を読み取る処理速度と、得点すべきものと飛ばすものの取捨選択ができる力の両立が求められています。また、今年は全体的に易化し、高得点勝負となったことが予想されます。そのため、ミスや減点の少ない正確性も要求されました。ほかにも、国際分野や世界地理が地歴との融合問題として頻繁に出題されていることや、一般教養や雑学のような出題があることも北嶺の特徴です。知らないと解けないというより、社会科の学習で身に付けた知識を実生活でどう活用していくのか、という実践的な出題は、北嶺中の先生からの受験生に対するメッセージなのかもしれません。日常の疑問を資料集や地図帳を開きながら考えてみると良いでしょう。北嶺攻略に向けて、6年後期までに『四科のまとめ』や『夏期講習会テキスト』で基礎学力を定着させておき、過去問を解くことで時間配分や取捨選択の感覚を養えるようにしましょう。
(社会科文責:千葉)