【理科】電流のふしぎ

今日は「並列つなぎは、なぜ電流が変わらないのか。」というテーマでブログを書いていきます。

こんにちは!理科担当の郷です。四谷に通う5年生は、いま電流の単元を学習しています。電流の問題で、「ぱっと見」は簡単でも、実は多くの生徒が間違ってしまう……というやっかいな問題があります。


問題
図1の回路で豆電球が光っている。
そこにもう1つ豆電球を並列に接続し図2の回路とする。
このとき、最初からあった豆電球の明るさはどうなるか?

理科画像1回路

答えは…

変わらない(同じ明るさで光り続ける)

(特に塾生の)みなさん、自信をもって答えられましたか?
「わざわざ問題に出すということは、きっと暗くなるってことだろう」という気もしますが、実際に変わりません。

さて、この「豆電球を2こにしたのに、明るさが変わらない」という結果、よく考えると不思議な感じがしませんか?並列つなぎでは、なぜ明るさがかわらないのか。その理由は、一言でいうならこうなります。

理由は…

だって、実際にそうなるから

以上です!(笑)
小学校の授業で、「豆電球を並列につないでも、明るさは変わらない」ことを実際に実験して体感したことのある人もいるでしょう。実際にやってそうなるから、それが答えなのです。

でも、そんな答えで納得できますか?わざわざここまで読んでくださったあなたなら、きっと上の理由を読んで「せっかくここまで読んだのに!」とがっかりされたのではないでしょうか。

素晴らしい!

この記事は、そんなあなたのために書いています。「だって」そうなることが、「なんで」そうなるのかを考えることが、理科の一番面白いところ。さあ、一緒に考えてみましょう。


さて、ここからが本題です。

そもそも、電気ってなんでしょう?
天井の蛍光灯や、スマホのバッテリー、雷や、10万ボルトをくりだす黄色いネズミ……(いろいろと問題があるので名前はいえません、ピー!カー!!)。「電気」という言葉から連想されるものは様々ですが、では具体的に「電気とは何か」と言われると、よくわからないですよね。ですが、実はその答えは単純です。

電気とは、つぶである(でも、波でもある)

()の中は気にしなくて良いのですが、電気のつぶには2種類あります。電池でおなじみの「プラス」と「マイナス」です。同じ種類のつぶどうし(「プラス」と「プラス」や、「マイナス」と「マイナス」)は反発し、異なるつぶどうし(「プラス」と「マイナス」)は引き合います。

※光る明るさは、この粒のスピードが速ければ速いほど明るくなる、というイメージを持ってもらえればOKです!

ところで…引き合う?……これって、何かに似てますよね。

そう、磁石です。


電気と磁石は似ている

乾電池には、プラス極とマイナス極があります。同じように、棒磁石には、N極とS極があります。
「電流が流れる」のは、プラス極と反発したプラスのつぶが、マイナス極の方向に移動する現象です。
磁石の近くに鉄のボールをおくと、鉄のボールが磁石にひきつけられ移動するのとよく似ています。

理科画像2回路

確かに、こう並べてみてみると、この2つの図で起こる現象は、なんだか似ているように思えてきますね。(よーく観察しましょうね!)


ここで再び問題
鉄のボールを2個と、磁石を1個用意して、下の図のようにして磁石の近くに置いたとすると、それぞれの鉄のボールの速さは1個のときと比べて、どうなるでしょう?

理科画像3回路

答えはそう「変わらない」ですよね。
石を持ち、静かに手を放して地面に落とすとき、1つだけ落とすときと2つ落とすときでは、地面に落ちるまでの時間は変わらないでしょう。


今日の結論です
1つでも2つでも、石の落ちる速さが変わらないように、磁石に引き付けられる鉄のボールのスピードが、ボールの数が増えても変わらないように、そう、電池のマイナス極に引き付けられるプラスのつぶの速さは、回路が1つでも2つでも、変わらないと考えられます。

つまり、こういうこと。
理科画像4回路

納得できましたか?(いいや、納得できない!という人も大歓迎!お近くの理科担当まで。待ってますよ!)

身の回りのものの似た現象をよく観察して、「もしかして、これとこれって同じこと?」と考えてみる。それこそが、物事が「わかる」ということへの第1歩です。

理科は、それこそ身の回りにあふれています。寒くなると公園の滑り台で静電気が起きやすくなることも、太陽が沈む時間が季節によって変わることも、花火が色鮮やかに夜空を彩ることも、みんな理科です。

教科書やテキストの中だけでなく、いまあなたがこの記事を読んでいるスマホやタブレット、パソコンの中にも、たくさんの理科があります。

一緒に理科の世界を楽しみましょう!